Goldman Sachs Research
The Bigger Picture
ウーマノミクス:静かなる革命-あれから25年
  • 当社では25年前に、当時の日本株式チーフ・ストラテジストだったキャシー・松井氏が執筆したレポート「ウーマノミクスが買い」(1999年8月17日発行;投資戦略レポート)で、初めて女性の労働参加と活躍機会がもたらす経済的可能性を広く訴えた。その後の松井氏の分析と提言は、日本政府の政策立案に大きく貢献してきた。本レポートでは日本の政策の進展について記す。

  • 25年の節目に、再び松井氏が提唱したこの重要なテーマに焦点を当てる。松井氏は日本を中心に分析を行ったが、今回はグローバルに目を向け、広く世界的な進歩状況を検証し、制約となっている課題と今後の進展を検討する。

  • 女性の労働参加による貢献を過大評価しすぎることはない。例えば、イタリアでは、女性の労働参加がなければ、労働力は近年縮小していただろう。

  • ほとんどの国で、女性の労働参加率は上昇し、男女賃金格差は縮小している。しかし、これらが一直線に向上したわけでもなければ、世界中で同じように進展したわけでもない。インドでは女性の労働参加率が低下し、賃金格差は(特に日本では)依然として大きい。また世界的に、女性の無給労働の割合は依然として高い。これは、企業、学界、政治のトップ層に上り詰める機会を含む、労働力参加と平等全般に対する大きな障壁だろう。

  • 最も進捗した分野の1つは企業部門だ。S&P500社の女性CEOの数は過去5年間で2倍になった。そしてヨーロッパでは、役員の40%が女性だ。

  • 進捗を喜ぶ面は多々あるが、まだやるべき課題も多い。残念ながら、テクノロジーと金融業界では、世界金融危機以来、米国とヨーロッパで女性雇用者のシェアが減少している。そして、これらの業界では女性管理職の割合も、他のセクターよりも低い。AI革命が迫っている今、これは特に気がかりだ。

  • 女性活躍の進歩が停滞する懸念も聞かれるが、当社ではこれらの懸念は行き過ぎと考えている。女性の労働参加はパンデミックで減少したが、経済再開後は一般的にパンデミック前以上に回復した。賃金格差は年齢が高くなるほど拡大するが、ここでも格差はわずかに縮小しており、ほとんどの女性活躍に関する企業関連指標は着実に上昇している。ESG投資は様々な問題に直面しているが、資金流入は逆転するのではなく、横ばいであり、当社GSサステインチームは、環境および社会問題への取り組みが先進的な企業のパフォーマンスが、引き続き後発者を上回っていることを示している。

The Bigger Pictureは、ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部が発行する、より長期的な経済及び政策課題を取り上げたレポート・シリーズで、通常のより市場に焦点を当てた分析を補完するものです。

ウーマノミクス:静かなる革命-あれから25年

女性労働参加による貢献-過大評価しすぎることはない...

女性の労働参加率は近年、多くの国で明確な上昇傾向にある。この点で米国はかつて明らかに世界をリードしていたが、ここ数十年、米国の女性労働参加率にはほとんど変化がない一方で、他の国が米国に追いつき、近年では追い越している(図表 1)。特に、日本の同比率の大幅な上昇は、目を見張るものがある(図表 2)。

図表 1: 女性の労働参加率は先進国全般に上昇

女性労働参加率(15-64歳、%)、直近データは2022年
1. 女性の労働参加率は先進国全般に上昇. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 2: 最も大幅に上昇しているのは日本、米国は遅行

女性労働参加率の累計変化(15-64歳、%)、直近データは2022年
2. 最も大幅に上昇しているのは日本、米国は遅行. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
ここ数十年の女性の労働参加による貢献は、いくら評価しても過大評価し過ぎることはない。例えば、1970年代以降のイタリアの労働力の増加は、女性の労働参加の高まりによるところが大きく、これがなければ労働力は横ばいにとどまるか、場合によっては(労働年齢人口の減少により)縮小していただろう(図表 3)。
日本では、人口動態という観点から見れば労働者数は大幅に減少していた可能性があるが、実際には雇用が拡大している。その背景には、女性が労働に参加し、就業し続ける傾向が強まっていること-これには働き方改革や家族重視の政策が貢献-および男女を問わず高年齢層が働き続けるようになっていることがある(図表 4)。

図表 3: イタリアの労働力の増加は主として女性の労働年齢人口の増加を反映

労働力の累計変化(百万人)、直近データは2022年
3. イタリアの労働力の増加は主として女性の労働年齢人口の増加を反映. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 4: 日本の労働力の増加に最も貢献しているのは高年齢層の労働(再)参加

労働力の累計変化(百万人)、直近データは2023年
4. 日本の労働力の増加に最も貢献しているのは高年齢層の労働(再)参加. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
どの年齢層でみても、日本の女性労働参加率は米国より高い。ヨーロッパでも、労働適齢期(25~60歳)にあたるどの年齢層でも、女性の労働参加率は米国を上回っている(図表 5)。
図表 6に、年齢層別にみた過去20年間の女性労働参加率の変化を示した。ヨーロッパでは、女性労働者が増加しているだけでなく、高齢層の女性労働者、特に50歳代後半から60歳代前半(すなわち1960年代生まれ)の労働者が増えている。

図表 5: 全ての年齢層で日本の女性労働参加率は米国より高い

年齢層別女性労働参加率(%)、2022年時点
5. 全ての年齢層で日本の女性労働参加率は米国より高い. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 6: ヨーロッパと日本では労働適齢期の全年齢層、特に高年齢層で女性労働参加率が大幅に上昇

2000年から2022年までの間の年齢層別女性労働参加率の変化(ポイント)
6. ヨーロッパと日本では労働適齢期の全年齢層、特に高年齢層で女性労働参加率が大幅に上昇. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
こうした変化をもたらした要因は何だったのだろうか。以前発行したレポートで、家族重視の手当てや政策、更に労働者保護に関する法律の見直しが効果を発揮したことを指摘した。また、高い技能を持った女性の増加も貢献した。2022年のデータに基づきEU統計局は、「25~34歳の年齢層では、高等教育を受けている人の割合は女性の方が男性より高い(女性は48%、男性は37%)」としている。更に、社会的変化に加えて、投資家が投資先企業のダイバーシティの改善を重視するようになったことも背景にある。
日本では、年を追うごとに発展・拡大してきた育児休暇や子育て支援といった政府の政策は、育児施設の拡充や手当の支給だけでなく、男性と女性双方の育児参加に向けて企業の意識改革を促す対策も含まれてきた。最近では、日本政府は東証プライム上場企業の女性役員数について、具体的な数値目標を設定している(2025年までに最低1人、2030年までに30%)。直近の動きとしては(2024年6月27日付日経)、日本政府は、上場、非上場を問わず、従業員301人以上の企業を対象に女性管理職比率を定期的に公表するよう義務付ける方針だ(後掲補足参照)。

...しかしまだなすべきことは多い

Women (still) hold up half the sky」で指摘した通り、まだなすべきことは多く、女性の就労傾向は男性より低く、特に新興国ではそれが顕著だ(図表 7)。インドでは、女性の労働参加率はそもそも低かったが、力強い経済成長や社会全体の繁栄にもかかわらず、近年、女性労働参加率は低下している。当社では、その理由は、女性の就労状況の過少報告、機械化の進展、女性の地位の不平等にあると考えている。
また、女性が就労しているといっても、女性の場合、パートタイム労働者の割合がはるかに大きく、従って労働力全体に対する貢献度は低くなり、またパートタイム労働の賃金は比較的低いことが多い点を踏まえると、こうした違いが、依然として残る男女間の賃金格差の一因である可能性もある。

図表 7: 先進国、新興国ともに過去15年間に女性労働参加率が上昇

労働参加率(直近データは2022年)
7. 先進国、新興国ともに過去15年間に女性労働参加率が上昇. Data available on request.
データはILOモデル推計値。
出所:ILO, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 8: どの国でもパートタイム労働者の割合は男性の方が女性より低い

2022年時点
8. どの国でもパートタイム労働者の割合は男性の方が女性より低い. Data available on request.
OECD諸国のパート労働者の定義は3種に分かれる:(I)労働者自身の主観的判断、(II)平均的な労働時間を基に、特定の時間で線引き、(III)実際の労働時間を基に、特定の時間で線引き。
出所:OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
無給労働に占める女性の割合が依然として高い:企業、学界、政治のトップ層に上り詰める機会を含む労働力参加と平等全般に対する大きな障壁となっているのが、圧倒的に女性が負うことの多い無給労働だ。実際、OECDの統計によると、大半の国で、1日のうち労働(有給および無給)に費やす時間は男性よりも女性の方が差はわずかだが多い(図表 9)。
無給労働のみに目を向けると、全ての国で1日のうち無給労働に費やす時間は女性の方が長く、例えばインド、メキシコ、ポルトガル、中国、トルコ、日本など、一部の国ではその男性との差は大きい(図表 10)。特に、無給労働の割合が大きいことは、女性の労働参加に加え、最も報酬が高い例が多く、長時間の拘束が一般的な管理職/経営陣に女性が就くことを難しくしている。

図表 9: 大半の国で労働時間(有給および無給)は女性の方が長い

1日24時間に占める総労働時間(有給と無給)、2024年のデータ
9. 大半の国で労働時間(有給および無給)は女性の方が長い. Data available on request.
時間の使い方に関する調査は、一日の活動記録をつけている人の集計。回答は各国統計局により、1日24時間(ないし1日1440分)の時間配分を数種類のカテゴリーに分類される。
出所:OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 10: 1日に占める女性の無給労働の割合と男女間の差異は大きい

1日24時間に占める無給労働の割合、2024年のデータ
10. 1日に占める女性の無給労働の割合と男女間の差異は大きい. Data available on request.
時間の使い方に関する調査は、一日の活動記録をつけている人の集計。回答は各国統計局により、1日24時間(ないし1日1440分)の時間配分を数種類のカテゴリーに分類される。
出所:OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
日本では男性の労働時間が一日に占める割合がOECD諸国の中でも高く、男性の無給労働時間が極端に短い(図表 9図表 10)。但し、従来に比べると長時間労働の習慣は大きく改善している。1990年代初の日本のバブル崩壊後、経済活動が停滞する中で必然的に労働時間が減少した側面もあるが、政府が企業や社会に対し長時間労働の習慣を見直し、子育て等に時間を当てられるよう、改善努力を促したことも大きい。
最近では改正労働基準法で働き方改革の一環としてとして、時間外労働時間に上限規制が導入された(後掲補足参照)。2000年代初には、30歳代男性の5割近くが週49時間以上働いていたが、2019年にはこの割合が33%に、更にコロナ禍で25%へと急低下した。しかも経済再開後も長時間労働の割合は低位に止まっており、これが日本の新しい生活スタイルとして定着しつつあることが示唆される (図表 11)。

図表 11: 日本では子育て年代の男性で長時間労働の割合が大きく低下

週49時間以上働いている人の割合
11. 日本では子育て年代の男性で長時間労働の割合が大きく低下. Data available on request.
出所:総務省, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成

出生率が低下する中でのウーマノミクス

いずれの国でも出生率は劇的に低下しており、政府や投資家にとって懸念すべき課題となっている。同時に、現時点の労働年齢人口も減少しているか、減少していないにしても少なくとも増加率が大きく鈍化している(図表 12および図表 13)。
生産性が大幅に改善しない限り、経済の縮小を回避するためには女性や高年齢層の労働参加の拡大が不可欠となる。移民の流入が続くことで問題は多少緩和される可能性があるが、下図に示す国連の試算による予測は、そもそも近年の移民パターンが続くとの前提に基づいている。

図表 12: 先進国では労働年齢人口の増加ペースが鈍化...

15-64歳の年齢層の増加率;国連予測による労働年齢人口の年間増加率
12. 先進国では労働年齢人口の増加ペースが鈍化.... Data available on request.
国連は人口推計にあたり、出生率、死亡率及び移民率を当該国過去データの確率モデル、将来の潜在的変化を、類似環境にある他国の経験の確率モデルを用いて推計。
出所:ハーバーアナリティクス, United Nations, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 13: ...新興国でも同様の傾向

15-64歳の年齢層の増加率;国連予測
13. ...新興国でも同様の傾向. Data available on request.
国連は人口推計にあたり、出生率、死亡率及び移民率を当該国過去データの確率モデル、将来の潜在的変化を、類似環境にある他国の経験の確率モデルを用いて推計。
出所:ハーバーアナリティクス, United Nations, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
ヨーロッパ建設業界に関する最近の調査結果をみると、事業活動の制約要因となっているのは資金的な逼迫や設備不足ではなく、労働力不足であることがうかがわれる。労働力不足問題はコロナ禍前から表面化していたが、一段と深刻化している。設備や原材料と異なり、労働力不足には改善の兆しが見られない(図表 14)。

図表 14: 資金的な制約や設備不足ではなく労働力不足が事業活動を圧迫

ヨーロッパ建設業界調査:資金、労働力、設備による制約の度合い(季調後, %)
14. 資金的な制約や設備不足ではなく労働力不足が事業活動を圧迫. Data available on request.
出所:ユーロスタット, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 15: 出生率が低水準へと低下する中、女性労働参加率は着実に上昇

ドイツの女性労働参加率(15-64歳、%)と合計特殊出生率
15. 出生率が低水準へと低下する中、女性労働参加率は着実に上昇. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD, 世界銀行, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
しかし、女性の労働参加率が上昇すると、子育てに必要な時間の確保がますます難しくなり、結果として出生率の低下傾向に拍車がかかることになる。この問題について、当社の日本経済担当チームが「日本経済アナリスト:コロナ禍が炙り出す少子化対策・ウーマノミクスの課題」において学術研究に基づき解説している。
それによると、女性労働参加率と出生率との関連性はそれほど強くなく、近年ではむしろ両者の間には緩い正相関が認められる(図表 16)。子育て環境の整備や男女平等に関する法整備により、先進国を中心に女性が働きつつ家族を持つことが新たな社会的な規範として確立されつつある。
また、個々の国のこれまでの状況を検証してみると、女性の労働参加率と出生率の変化に一貫した関係性は認められない。ドイツがその好例で、数十年にわたり出生率は低水準にとどまり、人口置換水準を下回ってきたが、この間、女性労働参加率は大幅に上昇しており、出生率との間に明確な関係性は見られない(図表 15)。

図表 16: 最近では出生率と女性労働参加率との間には緩い正相関が存在

女性労働参加率と女性一人当たり出生率の関係
16. 最近では出生率と女性労働参加率との間には緩い正相関が存在. Data available on request.
女性労働参加率は25-54歳
出所:OECD, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成

男女賃金格差は(緩やかに)縮小

女性の労働参加が増えていることに加えて、多くの国で男女賃金格差が縮小している。1999年に発表したレポートでキャシー・松井氏は、日本における女性の労働環境の悪さの主たる理由は、男性と女性の賃金水準の大きな格差にある可能性が高いと指摘している。当時の日本の男女賃金格差は33%だった。現在もなお格差は比較的大きいが、それでも21%に縮小している(図表 17)。
世界各国で賃金格差は多かれ少なかれ縮小している。賃金格差が存在する理由の一つは、女性が男性とは異なる仕事に就く傾向にあり、経験や労働時間も異なることだ。しかし、欧州委員会は、「EUの男女賃金格差のほとんどの部分は説明がつかず、教育、職種、労働時間、経済活動分野の違いといった労働者や職場の特性と関連付けることはできない」と説明している。

図表 17: 多くの国で過去20年間に男女賃金格差は縮小

2002年と2022年の男女賃金格差の比較(%)
17. 多くの国で過去20年間に男女賃金格差は縮小. Data available on request.
OECDは、賃金水準中央値の男女差を男性の賃金水準(中央値)と比較したものを男女賃金格差率と定義している。いずれもフルタイム労働者と自営業者を含む。
出所:OECD, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
賃金格差は年齢とともに拡大しているようであり、これは、図表 18に示す通り、英国の国家統計局のデータに明らかだ。40歳未満の女性の賃金格差は、40代や50代の女性に比べてはるかに小さい。とはいえ、高年齢層でも賃金格差は着実に縮小しており、当社はこの傾向が続くと予想している。
賃金格差の縮小の一部はコホート効果を反映。米国、イタリア、カナダ、英国のデータを分析した最近のNBERのリサーチでは、男女賃金格差の縮小は次の2点に起因するとされている:(1)男女賃金格差が平均よりも小さい水準で労働市場に参加した新しい労働者層、(2)男女賃金格差が平均より大きい比較的高年の労働者層の引退。
日本の直近の2023年の調査によると(図表 19)、大卒者は男女間の所得格差がほとんどない状態で就職している。それ以降、5歳ごとに区切った年齢層が高くなるにつれて格差は拡大し、45~49歳の年齢層の23%でピークに達する。
図表 19は日本の常勤の正規雇用者の月間所定内給与を対象としているため、女性労働者が子育て世代になると時間外労働が少なくなることやパートタイム比率が高くなることによる影響は小さいと考えられる。むしろ、この図表は、自発的・非自発的にかかわらず、所得水準が比較的高い地位の女性労働者の割合が低いこと、更に女性が子育てをしながらキャリアも追及することに対する認識が、40代や50代の年齢層と若い世代とでは異なること(これもコホート効果を示唆)を映し出していると考えられる。

図表 18: 40歳未満の常勤雇用者の男女賃金格差はほぼゼロまで縮小

英国:常勤雇用者の平均的な時間当たり総賃金(時間外労働を除く)の男女格差(1997‐2023年)
18. 40歳未満の常勤雇用者の男女賃金格差はほぼゼロまで縮小. Data available on request.
英国統計局(ONS)は、時間当たり平均賃金の男女差を男性の時間上がり平均賃金と比較し、男女賃金格差率を算出。
出所:ONS, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 19: 大卒者は男女賃金格差がほとんどない状態で就職

大卒の新規常勤雇用者の月間基本賃金、2023年調査
19. 大卒者は男女賃金格差がほとんどない状態で就職. Data available on request.
出所:厚生労働省, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成
引き続き賃金最上位層では男女賃金格差が最も大きい。こうした傾向はほぼすべての国で観察され、賃金十分位の最上位層の男女賃金格差は中間層や下位層より大きくなっている。全般にすべての下位層で賃金格差は縮小しているが、最上位層では依然として格差は大きい(好例は日本、図表 20)。米国ではすべての賃金階層で賃金格差は2010~2011年以降横ばいとなっていることが興味を引く(図表 21)。
賃金最上位層の賃金格差にも、コホート効果が部分的に影響している可能性があり(この層の労働者は比較的高年齢である可能性が高い)、更に、後述の通り、経営幹部職に女性が少ないことも反映している可能性がある。

図表 20: 日本では賃金最上位層で男女賃金格差が最も大きい

日本における賃金階層別男女賃金格差(%)
20. 日本では賃金最上位層で男女賃金格差が最も大きい. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD

図表 21: 2010-11年以降、米国では賃金格差の縮小が全賃金階層で停滞

米国における賃金階層別男女賃金格差(%)
21. 2010-11年以降、米国では賃金格差の縮小が全賃金階層で停滞. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, OECD

幹部職-姿を消す女性

労働参加、賃金格差、幹部職という観点では、女性の就労状況に大きな進捗が見られる。しかし、幹部職への女性の登用は確かに改善してはいるものの、企業の最高幹部、特に役員クラスの女性の少なさは顕著で、状況にあまり変化は見られない。実際のところ、企業の管理職の上位になると女性比率は大きく低下する(図表 22)。
女性役員という観点では、ヨーロッパは疑いようのない成果を上げている。STOXX Europe 600社の女性取締役の割合は平均で40%近くに達する(図表 23)。これは、クオータ制(ノルウェー、フランス、ドイツ)と緩やかな圧力(ESGフロー、メディアの注目や関連団体の存在、英国の「30%クラブ」等)という2つの要因の相乗効果により実現している。また、Deloitteの分析によると、男性に比べて女性役員が多すぎる可能性を示唆するような兆候も見受けられなくなっている。
とはいえ、ヨーロッパでは役員レベルへの女性の進出が重視された結果、例えば米国、日本、大半の新興国に比べて、女性役員数はケタ外れに多くなっている。但し、業務執行取締役やCEOといったレベルでは女性の割合はそれほど大きくない。また、女性役員(および男性役員)の役割はサイロ化する傾向にあり、FTSE 100社のうち最高情報/技術責任者の女性比率はわずか27%であるのに対して、人事部門の責任者の71%が女性となっている。
より広い意味での女性の職場進出を促進する政策、教育へのアクセスの改善、小規模企業への資金供与や資金調達へのアクセスの拡大、育児費の公的支援策の拡充などが、より深く、幅広い変化を促すことになる可能性が高い。

図表 22: 企業の役職構造の上層になればなるほど女性比率は大きく低下

様々なポジションの平均女性比率、2023年または2024年時点の直近のデータ、S&P 500社(米国)、STOXX 600社(ヨーロッパ)、TOPIX構成企業(日本)
22. 企業の役職構造の上層になればなるほど女性比率は大きく低下. Data available on request.
出所:データストリーム, ファクトセット, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
CEOの女性比率は上昇しているが、スタート地点が低いため、依然として絶対水準は低いままだ。とはいえ、欧米の主要企業のCEOの女性比率が15年前の1~2%から現在では8%に改善していることは、女性の社会進出に関する歓迎すべき数字と言える(図表 24)。松井氏が25年前に発表したウーマノミクスに関する調査レポートに倣えば、日本はこれらの尺度では依然として大きく後れを取っているが、改善が見られることも確かだ。

図表 23: ヨーロッパでは女性役員が重視されてきた結果、女性役員比率は極めて高い水準に上昇

STOXX 600社、S&P 500社、TOPIX構成企業の女性役員比率
23. ヨーロッパでは女性役員が重視されてきた結果、女性役員比率は極めて高い水準に上昇. Data available on request.
出所:ブルームバーグ, データストリーム, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 24: 欧米の女性CEO比率は現在の7-9%に対してかつてはわずか1-2%

STOXX 600社、S&P 500社、TOPIX構成企業の女性CEO比率
24. 欧米の女性CEO比率は現在の7-9%に対してかつてはわずか1-2%. Data available on request.
出所:ブルームバーグ, データストリーム, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

改善は頭打ちになっているのか

パンデミックの影響、AIの台頭(女性が圧倒的な比重を占めるサービス業の仕事を中心にAIに置き換わる)、ESGフローの停滞を踏まえると、これ以上の女性活躍の進歩は望めないのだろうかということをよく尋ねられる。
実際、横ばいにとどまっている指標やわずかに悪化している指標もある。例えば、欧米では女性役員比率は過去10年間、年を追うごとに明確かつ持続的に上昇してきたが、2024年の比率は2022年とほぼ同水準となりそうだ。この点に関する当社の考えは、以下の通りだ:
  • 進歩が頭打ちとなっていることは決して悪い兆候ではない。これは、女性活躍がこれまでに著しく進展してきたことを反映しており、低水準からの初期段階の進歩は急激なものとなり得る。

  • ヨーロッパの女性役員に関しては、現在その比率はSTOXX 600社の女性従業員比率を上回る。女性従業員、管理職、執行役員の女性比率の引き上げは、その進展状況を計測し、整合性を確認すべき重要なポイントだ。またそれにより、女性幹部が少ないことが理由であることの多い男女賃金格差の縮小が進むことになるはずだ。フランスをはじめとするいくつかの国がこれを目標に定めている。

  • 女性CEOに関しては、米国では大幅かつ継続的な進展が見られる。ヨーロッパはやや見劣りし、STOXX 600社2024年の女性CEO比率は2021年と同水準となっている。これについても、女性役員よりも女性の管理職や執行取締役が重視されていたことが影響していると考えられる。

  • パンデミックの影響は女性の方が大きいとの懸念(例えば育児で仕事を離れる時間が多いこと等)は、杞憂に終わっている。米国に見られるように、パンデミック以降、女性の労働参加率は上昇している一方で、男性の同比率は低下している。こうした現象は米国に限定されるわけではなく(図表 25)、例えば英国でも同様のパターンが認められる。

  • WFH(Work from Home; 在宅勤務)は今後の女性活躍に影響を及ぼすのだろうか。この点に関する最近の調査結果は、明暗交錯している。最近のハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の調査によると、リモートワーク中の若手の女性はメンタリングの機会が少ないことや交流のなさにより仕事に行き詰まることが多い(若手の男性労働者にもこれは当てはまるが、その度合いは低い)。しかし幹部社員の場合、リモートワーク中の生産性は高くなる傾向にある。

  • 当社エコノミストがAI導入による影響が最も大きいと考える職種では、男性より女性が占める割合が大きい:これらの分野の労働力の60~70%は女性だ。もっとも、かなりのレベルの対面での対応や介護の専門家-どちらの分野も女性が圧倒的な割合を占める-が必要とされる職種ではAIを通じて生産性が高まる可能性が高いが、AIに取って代わられる可能性は低い。

  • 政治的な時代精神(主流となる考え方や思想、動向)が近年変化しており、特に投資家や消費者の負担増につながると考えられる場合はESG投資の有効性がますます疑問視されるようになっている。また、反移民論も高まっている(例えば先の欧州議会選挙での極右政党の台頭)(ESGを疑問視する層と重複することが多い)。当社は、人口の高齢化、巨額の財政赤字、労働力の減少、移民に依存することへの躊躇などを踏まえると、女性の一段の労働参加と経営幹部としての女性の一層の活躍が不可欠と考えられる。更に、世界的にESGファンドへの大量の資金流入は途絶えたが、資金流出が生じているわけではない(図表 26)。

  • アウト・オブ・サンプル・テストによる検証では、GS SUSTAINの業務上の環境&社会(E&S) 問題への対応で先行する企業(最上位五分位)が大幅にアウトパフォームし、遅行する企業がアンダーパフォームしていることが明らかになった。過去1年間、ESG環境をめぐる不透明感が高まったにもかかわらず、業務上の環境&社会(E&S)問題への対応で先行する企業と遅行する企業間のパフォーマンス格差は拡大し続けている。更に、当社ヨーロッパウーマノミクス・バスケットのROEと利益率は市場平均に比べて高く、バランスシートもより健全である傾向が強い。

図表 25: パンデミック以降、女性労働参加率は上昇しているが、男性の就労率は低調

年齢別(16-64歳)
25. パンデミック以降、女性労働参加率は上昇しているが、男性の就労率は低調. Data available on request.
出所:ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 26: ESGファンドと非ESGファンドへの累計ベースの資金流入

月間資金流入、10億ドル、EPFR Funds Flowsによる、重複あり
26. ESGファンドと非ESGファンドへの累計ベースの資金流入. Data available on request.
出所:EPFR, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
日本では、コロナウイルス感染拡大で需要が急減したサービス業に従事するパートタイム労働者を中心に、特に女性の雇用が減少した。一方で、コロナ禍で企業は急遽テレワークを導入せざるを得なくなり、「仕事のやり方」自体も見直すきっかけとなった(図表 27)。日本の民間企業のテレワーク導入率は、2022年時点で50%と、「たった」3年前(2019年)の20%以下から急上昇している。テレワーク導入は生活の満足度向上をもたらし、テレワークをするようになってからの満足度の変化は、特に「子育てのしやすさ」、「介護のしやすさ」は「レジャー・余暇生活」や「自己啓発」を上回る改善をみせている(図表 28)。

図表 27: コロナウイルス感染拡大で日本でも漸くテレワーク導入が急拡大し...

日本の民間企業のテレワーク導入率
27. コロナウイルス感染拡大で日本でも漸くテレワーク導入が急拡大し.... Data available on request.
出所:総務省, 国土交通省, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成

図表 28: ...子育てのしやすさも向上

生活満足度とテレワークによる変化;「満足している」の割合
28. ...子育てのしやすさも向上. Data available on request.
出所:総務省, 国土交通省, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成

テクノロジー・セクターと金融セクター

業種が異なると、女性雇用の進捗状況(あるいは進展のなさ)も異なる。ヨーロッパでは、建設業と科学分野における女性比率が近年上昇している(建設業では低水準から改善)が、テクノロジー分野では低下している(図表 29)。米国でも同様のパターンが見られる。実際、米国ではテクノロジーと金融サービス(ともに賃金水準が高い業界)の女性従業員の比率は低下している(図表 30)。

図表 29: EUの建設業界/科学分野の女性進出率は上昇しているがテクノロジーでは低下...

EU:女性従業員比率の2008年以降の累積変化(%ポイント)
29. EUの建設業界/科学分野の女性進出率は上昇しているがテクノロジーでは低下.... Data available on request.
出所:ユーロスタット, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

図表 30: ...同様に米国でもテクノロジーと金融サービスの女性従業員比率は低下

米国:女性従業員比率の2008年以降の累積変化(%ポイント)
30. ...同様に米国でもテクノロジーと金融サービスの女性従業員比率は低下. Data available on request.
出所:米国労働統計局, ハーバーアナリティクス, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部
全てのセクターで、管理職レベルの女性比率は低くなっている(図表 31)。女性が全労働者のおよそ50%を占めるセクター(ヘルスケア、消費、金融)でも、管理職の女性比率は低い。この移動格差(モビリティ・ギャップ:労働者全体における比率と上級管理職の比率の差)は、金融、テクノロジーなど、賃金水準が高い業界で最も大きくなる傾向にある。
対照的に、女性従業員は比較的少ないが、明確なモビリティ・ギャップは存在しない業界も存在する。どの国でも素材、エネルギー、工業の各セクターの女性従業員比率は低いが、女性管理職の割合は女性従業員比率より高くなっている(これらのセクターは図表 31のラインの上部に位置する)。これらの業界に従事する女性の数は比較的少ないが、過去のデータに基づくと、上級管理職レベルでは女性が一定のポジションを占めている。
女性管理職、女性従業員の両面で50/50の完全な平等性を維持している業界は存在しないが、米国のヘルスケア・セクターはそれに近い状況にある。

図表 31: すべてのセクターで管理職レベルの女性比率は低い

STOXX 600社およびS&P 500社の女性管理職の割合と女性従業員の割合、2024年時点の直近のデータ
31. すべてのセクターで管理職レベルの女性比率は低い. Data available on request.
消費財は一般消費財と生活必需品の平均。
出所:データストリーム, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部

補足:日本の子育て・女性社会参加促進に関わる制度の変遷

日本では戦後1945年に初めて女性に参政権が認められ、1946年の衆議院選挙で初めて女性が投票し、女性国会議員が誕生した。雇用面では、1985年に「男女雇用機会均等法」が成立し、募集、採用、配置、昇進について女性を男性と均等に取り扱う「努力義務」が企業に課せられた。
1990年代に入ると、人口高齢化・少子化が社会問題として広く認識され、政府も子育てや女性の社会進出促進に関する制度を次々と導入した。特に1999年に導入された「新エンゼルプラン」では、保育などの子育て支援サービスの拡充、仕事と子育て両立のための環境整備の他、固定的な性別役割や職場優先の企業風土の是正も政策の柱と位置付けられた。
育児休業に関する制度は、当初1972年に制定されたが、これは女性が申し出た場合は一定期間、育児のために休業を認めるもので、企業の努力義務とされ、法的拘束力はなかった。1992年に施行開始した育児休業法では、男女ともに子供が1歳になるまで育児休業取得が可能となり、画期的な制度とされたが、初期段階では休業中の給付はなく、無給だった。
育児休業中の給付金は1995年に開始、当初の給付率は(育児休業前の給与の)25%だった。その後、育児休業取得期間、給付率は段階的に拡大し、特に、2014年の改定では、男女ともに育児休業が取得しやすいよう、当初6ヵ月間の給付率が給与の50%から67%に引き上げられた。休業期間は現在最大で子供が2歳になるまで延長されている。また、2022年には父親が産後直後に家庭の支援ができるよう、育児休業とは別に、産後8週間以内に4週間を限度として2回に分けて取得できる「産後パパ育休(出産時育児休業)」が導入された。
この間、女性に負担がかかりやすい介護休業制度も導入され、給付金も育児休業と見合う給付率となっている。
女性活躍を促進する制度では、2016年に女性活躍推進法が施行され、就労状況・条件の男女差を解消し、男性の暮らし方や意識改革も進めて、女性が活躍できる社会にするための制度整備が進められている。2020年の改正では、女性雇用者比率、管理職比率、男女賃金格差、男女育児休暇取得率等、女性活躍の情報公開が強化されている。
企業面では、2005年に出産や子育てをサポートする企業として認定する制度、「くるみん」が、2015年に女性活躍推進企業を認定する「えるぼし」制度が導入され、子育てや女性活躍に対する企業努力が一層求められている。この間、2019年には労働基準法の働き方改革の一環として、時間外労働時間に上限が設けられ、労働時間短縮化の努力が進められている。また2023年の女性版「骨太の方針」では、上場企業に女性役員比率の数値目標が設定された。直近では、政府は上場・非上場を問わず従業員301人以上の企業を対象に、女性管理職比率の公表を義務付ける方針で調整に入った(2024年6月27日;日経)。
このように、1990年代は、子育て環境の整備・拡充が中心だったが、特にこの10年間は男性の育児参加、女性活躍や、社会の認識変化に政策の焦点がシフトしている。

図表 32: 主な子育て、女性活躍に関する政策の変遷

32. 主な子育て、女性活躍に関する政策の変遷. Data available on request.
出所:厚生労働省, 内閣府, ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部作成
株式・ストラテジーチームのインターンであるWillem van der Meeの寄与に感謝する。

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